旭硝子は,「深紫外(波長300nm以下の紫外線)LED用石英レンズ」を開発した(ニュースリリース)。2018年第三四半期より試作受付を開始,2019年より量産を開始する予定。
現在水や空気の殺菌には,主に水銀ランプが使用されていり。しかし,水銀は人体や環境へ悪影響を与えることから,「水銀に関する水俣条約」で今後水銀ランプの生産は大きく制限される可能性がある。環境負荷が低く,極めて強い殺菌作用を持つことから,水銀ランプに替わる次世代光源として深紫外LEDが期待されている。深紫外LEDモジュールの市場規模は2020年には300億円になると予測されている。
しかし現行の深紫外LEDには,カバー材とレンズの間の透明接着剤が高価かつ紫外光により劣化しやすい,封止時に無酸素雰囲気にするための設備が必要となる,カバー材とセラミックスパッケージ間の金-スズはんだが,部材の熱膨張差により割れ,外気が侵入してしまうなどの課題がある。
これらの課題を解決するために,同社は今回「深紫外LED用石英レンズ」を開発した。この製品は紫外光透過率の高い石英のカバー材とレンズを,同社の独自技術により一体化しているため,透明接着剤が不要。また,同社で開発した特殊シール材を予め付与してあり,顧客の工程では大気下で加熱・加圧するだけでセラミックパッケージと接合できるため,無酸素雰囲気にするための大掛かりな設備が不要となる。
さらに柔軟性を持つ特殊シール材が柔らかく異種部材の熱膨張差に追従するため,割れて外気が侵入することもない。これらにより,深紫外LED製造工程を大幅に簡略化でき,設備投資額の低減が可能になるという。