東北大ら,深紫外LEDの初期劣化メカニズムを解明

東北大学,豊田合成,名城大学は,DUV LEDの初期劣化の原因を明らかにした(ニュースリリース)。

窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を発光層とする波長260~280nmのLED(DUV LED)は多くのメーカーから市販されている。しかし,使用開始から数十時間で光出力が20~40%も減少することが課題となっている。

DUV LED の初期劣化問題を明らかにするには,発光層にキャリア(電子と正孔)が注入され再結合し光を発するという過程を切り分けて整理する必要がある。

キャリア注入効率および光取り出し効率は改善されてきた一方,内部量子効率はキャリアの全再結合過程の中で輻射再結合が占める割合であり,それを阻害する空孔型点欠陥等の濃度を低くする必要がある。ここで,外部量子効率を支配する3つの因子のうち,LEDの通電により低下する可能性があるのは「キャリア注入効率」と「内部量子効率」の2つ。

研究では,通電前および指定の時間通電したLEDチップに対して光出力等のパラメータの通電時間依存性を明らかにした。加えて,LED素子内に残存する不純物であるマグネシウム(Mg)およびHの濃度プロファイルを定量化した。ここでMgは,AlGaNをp型化させるために意図的に加える不純物であり,HはMg添加AlGaNの結晶成長中に意図せず取り込まれる不純物。

さらに,LEDの発光層の発光寿命を時間分解フォトルミネッセンス法により定量化した。ここでは,瞬間的に点灯するDUVレーザーを外部から照射することにより,瞬間的にLEDの発光層を発光させて発光強度の時間変化(ナノ秒台)を計測した。

また,発光寿命の通電時間依存性から,LEDの初期劣化の主要因は内部量子効率の低下ではなく,キャリア注入効率の低下であると考えられた。

接合近傍のバンドプロファイルをシミュレーションした結果,LEDの初期劣化の主要因はLEDの物理的な劣化ではなく,結晶成長時にAlGaN電子ブロック層中に取り込まれた水素(H)により不活性化されていた「空孔型点欠陥クラスター」が,LED駆動中の電界によってHが引き剥がされることにより活性化し,電流損失を引き起こすためである事を明らかにした(かさぶたで出血の止まっていた傷からかさぶたが取れて出血するイメージ)。

研究グループは,元々傷が少ない結晶成長を行なう,かさぶたが取れないようにする等の工夫により,DUV LEDの長寿命化・高信頼性化が期待できるとしている。

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