QDレーザは,レーザー網膜走査技術「VISIRIUM®テクノロジ」の第一弾製品として,ヘッドマウントディスプレー(HMD)「RETISSA® Display」を本年7月から国内販売する(ニュースリリース)。2018年4月の受注開始を予定している。
同社では,創業以来培ってきたレーザーおよび光学技術を応用して,三原色レーザー光源からの微弱な光と高速振動するMEMSミラーを組み合わせ,網膜上に映像を描き出すレーザー網膜走査技術「VISIRIUM®テクノロジ」を開発してきた。原理的に視力(ピント調節能力)に依存しないため,誰でも見やすいディスプレーの実現を目指している。
製品は,眼鏡型のフレームに内蔵された超小型プロジェクターから,網膜に直接映像を投影するHMD。片眼の視野中心部(水平視野角約26度,アスペクト比16:9)に,HDMI端子で接続できる機器からのデジタル映像を投影する。
超小型プロジェクターからの微弱なレーザー光は瞳孔の中心でいったん収束し,網膜へと投影される。この方式は,眼のレンズである水晶体の状態に影響を受けにくいことから,視力やピント位置に関係なく,眼鏡やコンタクトレンズをしていなくてもボケのない映像を見ることができる。
独自開発した投影光学系によりプロジェクターを極限まで小型化し,フレームの内側に搭載することができた。通常の眼鏡やサングラスと同様に,突出部がなく違和感の小さいデザインとすることで,誰もがいつでもどこでも使えることを目指している。
また,目に映っている風景の上に,デジタル映像を直接上書きすることができるので,従来の仮想スクリーン方式では生じがちな実風景と投影映像のピントずれが,原理的に起きない。「見る」行為を妨げることなく,視界にデジタル情報が融合する,新しい体験が可能だとしている。