オリンパス,世界最速の超解像顕微鏡を開発

オリンパスは,細胞内部の構造や信号伝達などの動きをライブ観察できる世界最速の超解像イメージングシステム「SpinSR10」を2018年1月から全世界で発売する(ニュースリリース)。

独自の光学特許技術により120nmの分解能を達成。また「スピニングディスク共焦点光学系」の技術を応用することで,最速0.005s/フレームの画像取得速度を実現している。これら両技術を組み合わせることでサンプルの高速な超解像観察が可能となり,オートファジーのような高速かつ微細な現象もライブ観察できる。

また,超解像観察だけでなく広視野での蛍光観察,共焦点観察に対応しており,それらの観察方法の切り替えをワンクリックで行なえる。これにより広い視野で観察したい場所を特定した後,超解像観察に切り替えが容易にできるため、興味領域の探索に手間をかけることなく,スムーズな観察を実現する。

レンズ開発においては深部観察にこだわり,厚みのあるサンプルでも深部まで観察可能なシリコーン浸対物レンズを提供する。シリコーン対物レンズは,レンズとサンプル容器の間に液体を満たして観察する「液浸観察」で使用する。

浸液に用いるシリコーンオイル(ne≒1.40)は生体サンプル(ne≒1.38)と近い屈折率を持ち,屈折率の差で生じる球面収差を低減できるため,細胞をスライス加工せずに観察する脳海馬のような厚みのあるサンプルでも深部まで高精細な観察できる。

こうした特長から,がんやアルツハイマー病など医学分野の研究において更なる発展への貢献が期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 阪大ら,凍結生体の分子を高感度観察する顕微鏡開発 2024年12月12日
  • 農工大,光学顕微鏡で非接触に高分子濃度の分布測定 2024年12月12日
  • 日立ハイテクら,高分解能Laser-PEEMを半導体応用
    日立ハイテクら,高分解能Laser-PEEMを半導体応用 2024年11月12日
  • 宮崎大,光顕用パラフィン切片で電顕解析を可能に 2024年10月11日
  • 東大ら,世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発 2024年09月05日
  • 新潟大,超解像顕微鏡でアクチン細胞骨格を3D撮影 2024年07月19日
  • 順天堂大ら,安価なDIY光シート顕微鏡システム開発 2024年07月02日
  • 東大ら,タンパク質間相互作用を超高解像度で可視化 2024年06月10日