岡山大ら,ダイヤモンドヒーターで超高圧下で超高温を発生

岡山大学,愛媛大学,高輝度光科学研究センター(JASRI)らの研究グループは,半導体ダイヤモンドヒーターを用いた超高圧下での高温発生で,従来より1000K以上も高い約4000Kの温度発生に成功した(ニュースリリース)。

地球深部は高温高圧の世界であり,外核とマントルの境界(CMB)である深さ2900kmでは圧力136GPa,温度 4000Kと推定されている。岡山大は,120GPaの圧力発生まで成功し,目標の136GPaに肉薄してきている。

一方で温度発生はヒーター材料の制約から約2500Kが限界だった。岡山大はこの壁を突破する新型ヒーターとして半導体ダイヤモンドが最適と確信,2011年頃より研究を開始し,愛媛大とSPring-8の協力を得て,半導体ダイヤモンドヒーターの優秀性を実験的に実証した。

半導体ダイヤモンドは原子番号の小さい炭素とホウ素で構成されており,X線透過性が高いという特長がある。その特長を生かして,落球法によるケイ酸塩メルトの粘性率測定で既に成果を上げている。また,100 GPa領域での半導体ダイヤモンドヒーターによる超高温発生プロジェクトも開始している。

地上から3000kmほどの深さに,極めて活動的な領域であるD”層がある。D”層は地球内部における最重要境界層で,そこではペロブスカイト構造のブリッジマナイトがポストペロブスカイト構造に高圧相転移することが知られている。研究グループは,次の目標として半導体ダイヤモンドヒータを用いてD”層の物質科学的研究を展開することだとしている。

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