オリンパスは,4K 3Dビデオ技術を搭載した手術用顕微鏡システム「ORBEYE」(オーブアイ)を,2017年10月上旬から日本と米国で発売する(ニュースリリース)。
手術用顕微鏡は,細かな神経や血管などを処置する際に,手術しやすいよう患部を拡大して立体的に見るための製品。近年,高齢化社会の進展に伴い,悪性腫瘍など難易度の高い症例が増えているため,光学観察方式を中心に手術用顕微鏡の活躍の場は広がってきた。
この製品は,4K 3Dの高精細デジタル画像を実現したことで,組織や血管の微細な構造を高精細かつ立体的に観察でき,緻密な手術をサポートする。この機種では55型の大型モニターを見ながら手術が行なえるため,接眼レンズを長時間覗く必要がなく,術者の疲労軽減に貢献することが期待できる。
また,デジタル化により顕微鏡部が従来機種に比べ体積約95%減を実現したことで,広い手術空間の確保やセットアップ時間の短縮をサポートする。さらに本体も従来機種に比べ重量約50%減の軽量化を図り,手術室間での移動の容易化に貢献するという。
ソニーが開発した4Kの「Exmor R®」CMOSイメージセンサーを2個搭載し,高感度でノイズが少ない映像を実現する。フルハイビジョンに比べて4倍の画素数を実現したことに加え,広色域に対応した画像処理回路を搭載し,高精細なデジタル画像による手術ができる。
また,膨大な画像データ処理が必要な4K3Dシステムにおいて,画像の遅延を可能な限り小さく抑えているため,スムーズに見たい箇所を観察・処置することが可能。さらに,赤外光観察,青色光観察,NBI観察にも対応するなど,より緻密な手術をサポートすることが可能だとしている。
この製品は,同社とソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズとの医療事業に関する合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズが技術開発を担当した。今後,オリンパスで販売していく。また,この製品で,現在海外2社が寡占する脳神経外科手術用顕微鏡の世界市場において,シェア20%を目指したいとしている。