東工大ら,火星衛星が巨大天体衝突による可能性を示唆

東京工業大学らの国際共同研究グループは,火星の衛星「フォボス」と「ディモス」が月の起源と同様に,巨大天体衝突(ジャイアントインパクト)で形成されうることを明らかにした(ニュースリリース)。

世界最高解像度の巨大衝突シミュレーションによって,火星衛星がどのような物質でできているのかを理論予想した。その結果,火星衛星を構成する粒子の典型的な大きさが0.1 μmの微粒子と,100μmから数mであることが分かった。

微粒子の存在により,衛星の滑らかな反射スペクトルの特徴が巨大衝突説の枠組みと矛盾しないことを確認した。

また,火星衛星を構成する材料物質の約半分が火星由来であり,残りは衝突天体由来であること,さらに衛星が含む火星由来の物質の約半分は衝突当時の火星表層から50−150kmの深さから掘削された火星マントル物質であることを明らかにした。

これは宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2024年打ち上げを予定している火星衛星サンプルリターン計画(MMX)によって,衛星から火星本体の物質を地球に持ち帰る可能性が高いことを意味するものだという。

その他関連ニュース

  • 公大,1台のカメラで薄膜の皺の大きさを測定 2024年11月22日
  • 国立極地研究所ら,日本出現のオーロラ色の謎を解明 2024年10月31日
  • 広島大,暗黒物質に関する新しい観測手法を提案 2024年10月03日
  • 三菱電機,宇宙光通信モジュールの軌道実証に成功 2024年09月30日
  • 筑波大,超高光度降着円盤の歳差運動を実証 2024年09月20日
  • NAOJら,カイパーベルト外に未知の天体集団を示唆 2024年09月05日
  • JAXA,SLR用小型リフレクターの反射光取得に成功
    JAXA,SLR用小型リフレクターの反射光取得に成功 2024年08月22日
  • 立教大,X線偏光でブラックホール近傍の変化を観測 2024年07月30日