国立極地研究所(極地研),かわさき宙と緑の科学館,国立天文台らのグループは,2014年12月の「ほうおう座流星群」の光学観測結果から,流星群の親天体である彗星の活動の歴史を明らかにした(ニュースリリース)。
この流星群は,1956年に第1次南極地域観測隊がインド洋上で発見したものだが,それ以降出現はなかった。2014年に再出現するとの予報に基づき観測を試みた結果,実際に活動を検出することに成功した。
研究グループは,流星群の輻射点位置や出現時刻などの予報から,観測条件が良好な米国ノースカロライナ州に遠征して,7台の高感度ビデオカメラと2台のデジタルカメラで観測を行なった。観測は,現地時間の17時半過ぎから23時まで実施された。9台のカメラで,総計138個の流星を観測し,その内29個が「ほうおう座流星群」に属すると判断した。
さらに1956年と2014年の流星群の活動度を比較することで,親天体であるBlanpain彗星が,20世紀初頭には地球から彗星として観測されなかったものの,弱いながらも彗星として活動し,流星群のもとになるダストを放出していたことを明らかにした。この結果は,彗星,小惑星,流星体等の太陽系小天体の相互関係や進化を研究する上で重要な知見となるものだという。