九州大学は,メルビルと共同で,電子顕微鏡を用いて動作中の誘電体内部における原子の位置を0.01nmの精度で直接観察することに成功した(ニュースリリース)。
誘電体と呼ばれる材料は電気を蓄える性質があり,携帯電話やパーソナルコンピュータなど身の回りの様々な製品に多数用いられている。したがって,その研究開発が世界中で進められているが,その材料開発においては動作時すなわち材料に電圧を加えた状態における内部の構造を正確に把握する必要がある。
その際,動作中の誘電体内部の構造を解析する方法として「電圧印加その場電子顕微鏡法」があるすが,従来は良くても0.1nm程度の構造までしか解析されてこなかった。
今回の研究では,電子顕微鏡観察用の試料ホルダーを製作するなどして「電圧印加その場電子顕微鏡法」の高精度化を進め,動作中すなわち電圧を加えた状態での誘電体内における原子位置を0.01nmの精度で直接観察することに成功した。
この手法を用いると,誘電体内で電気を蓄えられる様子が原子レベルで直接観察されるだけでなく,電池材料やエネルギー関連材料などにも適用可能で,その動作メカニズムが解明されることが期待されるとしている。