ボーイング,JAXAの乱気流監視ライダーをテスト

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,乱気流事故防止機体技術の実証(SafeAvio)プロジェクトにより,晴天乱気流による事故半減を目指した晴天乱気流検知システムの開発を行なっているが,このシステムを米国ボーイング社のエコデモンストレーター・プログラムにおいて,2018年に大型機に搭載して飛行試験を行なうことになった(ニュースリリース)。

JAXAはSafeAvioプロジェクトを通じて,航空機搭載型としては世界トップの乱気流検知距離(17.5km)および軽さ(83.7kg)を実現したシステムの開発および実証に成功した。これは,乗客1人分程度の重量のシステムで約70秒前に乱気流を検知することができ,乗客にシートベルト着用を促す時間余裕を生み出すことによって負傷者を6割以上減らすことが可能となる技術。

このシステムは航空機搭載用のドップラーライダーで,航空機からレーザー光を放射して,大気中に浮遊するエアロゾル(微細な水滴やチリなど)からの散乱光を受信し,ドップラー効果による光の波長変化を調べることにより,波長変化による気流の変化,すなわち乱気流を求めることができる。これにより多くの航空機に搭載されている気象レーダーで検知できなかった晴天乱気流を検知することが可能になる。

旅客機が巡航する10km以上の高高度では,エアロゾルが減少し散乱光が弱くなるため,より強力なレーザー光が必要になる。JAXAでは2011年に重量が約150kgで,高度12,000mの高高度において約9km先の乱気流を検知することが可能なドップラーライダーを開発し,高高度でも乱気流検知できることを飛行実証した。さらに2012年2月には晴天乱気流の事前検知に世界で初めて成功している。

この研究開発成果が米国ボーイング社から高く評価されたことにより,今回のエコデモンストレーター・プログラムにおける飛行試験が実施されることになった。エコデモンストレーター・プログラムによる飛行試験は,大型旅客機への実装の実現に向けた大手機体製造メーカの評価を得られる貴重な機会となる。また,この装置に対するエアラインおよび他の機体メーカにおける意義や価値を高めることによって,標準化団体および航空規制当局への必要性の認識を促し,標準化プロセスを加速することが期待されるとしている。

ボーイング エコデモンストレーター・プログラムは,航空機の安全飛行と環境性能の向上を実現するため,様々なテクノロジーを実際の航空機に搭載して,飛行試験を行なうもの。このプログラムにおける初の飛行試験は,アメリカン航空のボーイング737-800型機を使って2012年に行なわれた。この飛行試験では,15種類のテクノロジーが実験対象となった。2012年の初飛行以来,このプログラムでは,これまでに60種類以上ものテクノロジーを対象とした飛行試験を行なってきている。

2018年のプログラムでは,FedEx社の大型貨物機(ボーイング777型機)を使って,JAXAの乱気流検知装置を含む30種類以上のテクノロジーをテストする。安全飛行のさらなる向上,より効率的な飛行ルートの確保,そして燃費の改善をめざす。

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