九大ら,プラズモンシートでナノ界面を可視化

九州大学の研究グループは広島大学との共同研究において,細胞が接着した「ナノ界面」の構造を高い時空間分解能で観察できる「局在プラズモンシート」の開発に成功した(ニュースリリース)。

2014年のノーベル化学賞に代表されるように,光の回折限界を超える空間分解能を持つ超解像度顕微鏡の開発が現在世界中で進められている。この技術によって生きた細胞内の分子の観察が初めて可能になったが,観察には非常に複雑で高価な装置が必要だった。

研究グループでは,金属ナノ粒子が規則配列した単層シートを蛍光観察基板として用いることで,現在最も「薄い」領域の観察に用いられている全反射蛍光顕微鏡の約10分の1の厚みの「ナノ」の領域のイメージングに,世界で初めて成功した。この観察には金属ナノ微粒子の持つ「局在表面プラズモン」の効果を利用している。

この局在プラズモンシートを用いれば,細胞が接着した界面における「接着斑」の高解像度イメージングや,細胞内の分子の動きの高速観察を,ほぼ全ての生化学系の研究室が持っている汎用の蛍光顕微鏡下で行なうことができる。

超解像度蛍光イメージングを身近なものにしてくれるこの技術は,世界の生化学,医学の研究者の標準技術となることが期待されるとしている。

その他関連ニュース

  • 公大,1台のカメラで薄膜の皺の大きさを測定 2024年11月22日
  • 日立ハイテクら,高分解能Laser-PEEMを半導体応用
    日立ハイテクら,高分解能Laser-PEEMを半導体応用 2024年11月12日
  • 徳島大ら,リモートプラズモニック光増強現象を発見 2024年10月28日
  • 宮崎大,光顕用パラフィン切片で電顕解析を可能に 2024年10月11日
  • 東大ら,世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発 2024年09月05日
  • 産総研,るつぼ内の金属の流動凝固をX線で可視化 2024年09月04日
  • NTT,グラフェンプラズモン波束を発生/制御/計測 2024年07月26日
  • NTT,世界で初めて高精細な音の見える化を実現 2024年07月25日