澁谷工業は,薄板・薄膜の高品質加工が行える超コンパクト型のレーザーアブレーション加工機を開発した(ニュースリリース)。価格は6,750万円。
同社は,切断加工用のレーザー加工機を中心とした各種レーザー加工システムを製品化している。低出力から高出力まで高度なレーザー加工技術を保有しており,特に精密・高精度加工分野において評価が高い。
今回,レーザーアブレーション加工機を開発した背景には,自動車やモバイル機器,カメラ等に使用されるフレキシブル基板用の高分子フイルムの高速・高精度切断や,リチウムイオン電池や半導体製品等に使用される最先端材料の薄膜素材の切断・彫り込み等の加工ニーズがある。
開発機は短パルスレーザ発振器(出力:20W,波長:532μm)を搭載し(出力,波長の異なる発振器も搭載可能),レーザー光を広範囲に振り分けるガルバノ装置と,材料をX-Y方向に移動させるワークテーブルの動作によってレーザー光をワークへ照射し,アブレーション加工を行なう(レーザ走査速度:最大16m/秒,加工範囲:400mm×400mm)。
アブレーション加工は熱影響が極めて少なく,この装置では,切断,彫り込み,溝掘り,穴明け等の加工を,各種金属,樹脂,セラミック,ガラス,炭素繊維強化プラスチック等のさまざまな材料に対して行なえる。
ワーク位置は2台のCCDカメラで自動検出することにより,高精度な加工を実現した。また,加工機の設置面積を大幅削減(同社従来機比60%削減)した超コンパクト化(1500mm(L)×1500mm(W)×2200mm(H)),軽量化(1,200kg)により,移動や移設が容易になっている。
同社では初年度10台の販売を目指し,自動車分野や半導体部品分野,情報家電分野などへの拡販に注力するとしている。