産総研,水処理膜の閉塞を共焦点顕微鏡で可視化

産業技術総合研究所(産総研)は,共焦点反射顕微鏡法を用いたバイオフィルムの非破壊での観察技術と,次世代シークエンサーを用いた微生物の大規模同定技術とを組み合わせて,水処理膜が閉塞する原因を解析した(ニュースリリース)。

再生水処理において,膜分離活性汚泥法(MBR)は,標準活性汚泥法よりも狭いスペースで良好な水質が得られる。一方,微生物の集団が形成する構造体である,バイオフィルムによる水処理膜閉塞の検知や制御が最大の課題となっており,現在は水処理膜の交換時期を予測し,膜の洗浄方法も次亜塩素酸を用いるといった画一的な対処がなされている。

バイオフィルムにより水処理膜が閉塞する原因や発生機構については,モデルは提唱されているものの,実環境での水処理膜の状態の解析は技術的に困難であるため,不明な点が多かった。

今回、蛍光プローブを併用した共焦点反射顕微鏡法により,水処理膜上のバイオフィルムを構成する細胞由来高分子を可視化した。また,次世代シークエンサーを用いて,バイオフィルム中の微生物を一度に数十万種レベルで同定し,膜閉塞の原因物質と原因微生物を解析した。

これらの手法を用いて,水処理システムへ流入する廃水の有機物濃度が膜閉塞に与える影響を調べた。その結果,廃水中の有機物が多い場合は,バイオフィルム中での異種細菌の捕食被食関係が原因となって生じる死細胞膜脂質が水処理膜上に蓄積するという,従来のモデルとは異なる膜閉塞発生機構の可能性を見出した。

今後は,今回の手法を,有機物濃度や廃水種が異なる個別のMBR運転に適用して,膜閉塞を引き起こす成分や微生物に関する情報を蓄積していく。これらの知見を用いて,適切なMBRの運転管理手法や,水処理膜の維持管理手法の提示を目指すとしている。

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