旭硝子は,2016年9月末までに中国広東省広州の旭硝子玻璃基板(広東)有限公司におけるHDD用ガラス基板生産を終了し,HDD用ガラス基板事業から全面撤退する事を決定した(ニュースリリース)。
同社は主に2.5インチHDD用ガラス基板を生産しいたが,ノートPC販売低迷やSSD(記録媒体としてフラッシュメモリを用いる記憶装置) の台頭により2.5インチHDDの需要は2010年の約3億1200万台から2016年は約2億1000万台に減少し,今後もさらなる減少が見込まれている。
このような市場環境の影響により受注が想定以上に減少したことから,同社のHDD用ガラス基板事業の採算は本年上期より急速に悪化した。同社は生産拠点の人員削減を始めとしたコスト削減に努めてきたが,今後も販売減少が避けられない見込みだとしている。
同社ではこれらの状況を踏まえ,HDD用ガラス基板事業からの撤退を決定した。なお,今後もHDD用ガラス素材については技術開発を継続し,ガラス素板の開発・供給などを通じ,HDD業界との連携を図っていくという。
なお,この決定により,2016年12月期に事業構造改善費用として約50億円を計上する見込みだが,この件に伴う連結業績予想(10月31日発表)の修正はないとしている。