島津製作所は,同社のハイエンドなエネルギー分散型蛍光X線分析装置が,ドイツの連邦放射線防護庁(BfS)によって定められる安全認証「BfS型式認定」を取得したと発表した(ニュースリリース)。
これにともない,この型式認定を取得したエネルギー分散型蛍光X線分析装置「EDX-7000P」および「EDX-8000P」を欧州地域で市場投入し,現地での本格展開を図る。
エネルギー分散型蛍光X線装置は,蛍光X線の性質を利用し,サンプルを構成する元素の種類や濃度を非破壊で分析する装置。液体や固体,粉体など幅広い試料に対応でき,RoHS指令を始めとする規制の対象となる鉛やカドミウムといった有害元素のスクリーニング分析などの用途で,電機・電子およびその関連メーカーを中心に導入が進んでいる。
前処理が比較的簡便であり,装置の高感度化が進んでいることから,近年は,医薬品や食品に混入した不純物の分析や材料解析のほか,研究用途でもニーズが高まってきているという。同社のエネルギー分散型蛍光X線装置は,過去10年間で全世界累計6,000台を超える販売実績を有している。
「BfS型式認定」は,ドイツで定められる極めて厳格な安全規格を満たさなければ取得できず,フランスやイタリアなど近隣諸国でも効力を有している。EU圏内で「BfS型式認定」を取得していないエネルギー分散型蛍光X線装置を導入する場合,ユーザーはX線に関する安全講習や監査を受けなければならず,運用上の負担となっていた。
同社は,エネルギー分散型蛍光X線分析装置を欧州でも本格展開するため,最新のエネルギー分散型蛍光X線分析装置の機構や制御系における安全性を強化し,同型式認定を取得した。エネルギー分散型蛍光X線分析装置を製造・販売している国内企業としては,同社の装置が唯一本型式認定を取得しているという。
同社は有機物の分析に優れた紫外可視分光光度計などの汎用分析装置の販路を生かし,これらの装置を,ドイツを中心とする欧州地域の製薬・食品・樹脂関連の業界や,欧州に事業所を展開している日系企業に向けて拡販していく。同社では2017年度以降の欧州地域におけるエネルギー分散型蛍光X線分析装置の販売台数を2015年度比で倍増させることを目指す。