産業技術総合研究所(産総研)は,化学・光学のコルコートと共同で,ケイ素化学の基幹原料であるテトラアルコキシシランを,砂や植物燃焼灰,産業副産物などから,従来よりも短時間に高効率で直接合成する技術を開発した(ニュースリリース)。
高純度合成シリカや電子デバイス用の保護膜,絶縁膜の原料などとして使用されるテトラアルコキシシランは,現状ではケイ石を金属ケイ素に還元するプロセスを経由して工業的に製造されており,製造プロセスのエネルギー消費の多さと高いコストが課題となっている。
今回,シリカを多く含み,安価で豊富に存在する砂,植物燃焼灰,産業副産物などをケイ素源としてアルコールと反応させて,テトラアルコキシシランを一段階で高効率に直接合成できる技術を開発した。
この技術では,汎用されている無機脱水剤のモレキュラーシーブで,反応によって副生する水を吸着除去することで,以前に産総研が報告した有機脱水剤を用いる従来の技術よりも反応の効率を大幅に向上させるとともに,砂や灰など,適用できるケイ素源の範囲を拡大した。
この技術は,安価で豊富に存在するさまざまなケイ素源を有効活用し,有機ケイ素原料の省エネルギー・低コスト製造に新たな道を拓くものだとしている。