東大、世界最軽量、世界最薄の柔らかい電子回路の開発に成功

科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環として、東京大学大学院工学系研究科教授の染谷隆夫氏、准教授の関谷 毅氏、博士研究員のマーチン・カルテンブルンナー(Martin Kaltenbrunner)氏らは、世界最軽量(3g/m2)で最薄(2μm)の電子回路の開発に成功し、タッチセンサーに応用した。

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研究グループは、厚さ1.2μmの極薄の高分子フィルムに、厚さ19 nmのゲート絶縁膜を作製する技術を確立し、世界最軽量で最薄の柔らかい有機トランジスター集積回路の作製に成功した。具体的には、陽極酸化法を用いた独自の室温プロセスで、基材への密着性の高いアルミニウム酸化膜を高均質に形成する手法を確立した。

このトランジスターは、超薄型であるにもかかわらず、驚くほど丈夫という特長を持っている。実際に、フィルムを折り曲げて曲率半径5μmまでつぶしても、生理食塩水に浸しても、さらには2倍以上伸縮させても、電気的性能を維持し、機械的にも壊れない。そこで、この有機トランジスター集積回路を使って、柔らかいタッチセンサーシステムを試作した。

今回の研究で、柔らかいセンサーの超軽量化・超薄型化が達成されたことにより、今後、装着感のない(人間が違和感を持つことの少ない)ヘルスケアセンサーシステム、ストレスフリーの福祉用の入力装置、医療電子機器用のセンサー、衝撃に強いスポーツ用のセンサーなど多方面への応用が期待される。

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