環境省,国立環境研究所(NIES),宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,平成21年6月から平成26年12月までの5年半に大都市等とその周辺で取得された,温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)のデータの解析を進め,世界の大都市等に加え,東京都市域において初めて人為起源二酸化炭素(CO2)濃度の推計を行なった(ニュースリリース)。
さらに,日本における人為起源CO2濃度について,「いぶき」データからの推計結果と統計データ等から算出した排出量データ(インベントリ)からの推定結果を比較したところ,両者が概ね一致することを初めて確認した。
国レベルで概ね一致することが確認できたことにより,今後世界各国が「パリ協定」に基づき作成・公表するCO2排出量の監視・検証を衛星観測により実現できる可能性が示されたという。
今後は衛星による人為起源CO2濃度の推定精度をさらに高めるために,高頻度・多数の衛星CO2濃度データの取得方法注釈を検討するとともに,大規模排出源周辺での地上観測を行うなど人為起源排出量を衛星CO2濃度データから推定する手法の開発及び推定結果の実証に取り組むとしている。
「いぶきは」,環境省、国立環境研究所 (NIES)及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で開発した,世界初の温室効果ガス観測専用の衛星。赤外線センサー等による温室効果ガス観測センサーを搭載し,平成21年1月の打上げ以降,現在も観測を続けている。
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