ひかり号を超えるもの 子供の頃,僕は父の勤める企業の東京の社宅に住んでいた。そこには,全国様々な地方出身の家族が住んでいた。北海道に帰省する我が家は飛行機を利用していて,友達からは随分と羨ましがられていた。でも,僕は飛行機に乗るのが怖くて,本 […] 2014年11月20日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第20話 著者:月谷昌之介
山椒魚は悲しいか?─近接場光の穴─ 井伏鱒二の小説で山椒魚が大いに悲しんだのは,苔だらけの岩屋から外に出られなくなってしまったためだ。二年程の思索の時間を過ごすうちに大きくなりすぎてしまった頭が,出口の小さな穴を通らなくなってしまったのだ。それにしても山椒 […] 2014年10月06日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第19話 著者:月谷昌之介
ブラックライトが照らし出すもの 十代の終わり頃,僕は浪人生活を送っていた。最後の受験を東京で終えた後,僕は北海道の自宅にすぐには帰らず,結婚して関東に住んでいた従姉妹夫婦の家で数日間を過ごした。昼間はあても無く東京近辺をぶらついたり,従姉妹の子供を連れ […] 2014年09月19日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第18話 著者:月谷昌之介
観光 ─光を観る?─ 旅が好きで,もういつでも旅をしていていたいと思っているほどだ。旅にも,スーツで行く出張の旅や緊張と感動が同居した山の旅など,いろいろとあるが,やっぱり観光旅行がお気楽である。僕の観光旅行のスタイルは,行きたい場所を大体決 […] 2014年08月22日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第17回 著者:月谷昌之介
トムは何者? ヘルシンキにはデザインミュージアムというユニークな美術館がある。それほど大きな博物館ではないけれども,電化製品や日用品など,デザインの国フィンランドならではの展示物が並んでいて,飽きることなく過ごすことができる。トイレに […] 2014年07月23日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第16回 著者:月谷昌之介
遠近感の罠 僕が住んでいる街の上空は,西に向かう飛行機の航路となっている。羽田から飛び立った飛行機は,ここ関東の西のはずれで上空数千mに達し,見事な飛行機雲の航跡を残していく。ぐんぐんと伸びていく飛行機雲を見ていると,なんだか僕自身 […] 2014年06月12日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第15回 著者:月谷昌之介
石川五右衛門とプラズモン 石川五右衛門は豊臣秀吉の時代の盗賊団の頭である。時には人殺しも厭わなかったというから決してほめられた生業ではないが,五右衛門の盗賊団が盗みを働く相手は秀吉を筆頭とする権力者のみだったこともあり,庶民にとってはヒーロー的な […] 2014年05月21日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第14回 著者:月谷昌之介
インスタントラーメンと光 久しぶりに袋入りのインスタントラーメンを作って食べた。僕が子供の頃から売られているロングセラーの銘柄だ。刻んだ長ネギを少し散らしてラーメンをすすったその瞬間,「ん?」という不思議な感覚に包まれ,そして懐かしい記憶が蘇って […] 2014年04月17日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第13話 著者:月谷昌之介
たまご肌の秘密 白くて艶のある「たまご肌」になりたい,というのは,多くの人たちが抱く願望である。ここでいう「たまご肌」とは茹で卵の白身(しろみ)のことだ。中には,茹で卵の黄身のような肌を手に入れたい,とか,生卵の白身のような透明な肌にな […] 2014年03月07日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第12回 著者:月谷昌之介
暗い夜空に乾杯 冬の夜に,暖かい部屋で鍋を突きながら日本酒をちびりとやる。頭に霞がかかってくるころには,なんだか幸せな気分になってくる。酔い覚ましにと結露した窓を開けて外に顔を出して見れば,凛とした夜空には星達が瞬いている。 背景が暗い […] 2014年02月06日 ひかりがたり ,連載シリーズ ひかりがたり 第9回 著者:月谷昌之介