大阪大学と奈良先端科学技術大学院大学は共同で,原子分解能をもつ走査トンネル顕微鏡を用いて,デバイス加工後のシリコン切削側面表面を原子レベルで平坦かつ清浄にし得ることを世界で初めて明らかにした(ニュースリリース)。
これまでデバイス加工後の側面表面の顕微評価はナノメートル程度の分解能をもつ走査電子顕微鏡でしかなされておらず,精密なデバイス加工を施しても,顕微プローブが加工構造と干渉するため,原子レベルでの評価はなされておらず,デバイス性能を十分に発揮できていなかった。
研究グループは,これまでに共同で構築してきた側面表面の原子レベルでの加工調整技術,及び電子ビーム回折*4測定による広域側面の平均的な原子配列評価技術を発展させ,今回,三次元立体加工にサブミリメートルの深堀技術を併用することにより顕微プローブの干渉問題を回避し,走査トンネル顕微鏡を用いたシリコン側面表面の原子スケールでの評価を実現した。
その結果,良く調整された三次元エッチング加工条件においては,シリコン側面表面が原子レベルで平坦・清浄なステップ・テラス構造をもつことを解明した。
この研究成果により,ムーアの法則の先を目指す立体超集積回路の構築の推進,即ちエッチング技術を用いたデバイス三次元立体加工の原子レベルでの側面構造作製技術の発展,更には側面表面を土台にしたトランジスタ構造の基礎となるヘテロ構造界面での伝導特性の向上が期待されるとしている。