日本分析機器工業会によれば,2012年度の分析機器生産額は対前年比96.5%の4,189億5,092万1,000円となり,輸出額は同100.9%の2,558億8,748万6,000円となった。
分析機器市場は電磁気分析装置や熱分析・熱測定装置,自動車排ガス分析計,自動化関連機器・情報処理システム,食品関連分析器が前年実績を越えたものの,多くの装置がマイナスとなっている。一方で海外市場の需要増に支えられ,輸出額は伸びている。
光分析装置市場の推移に目を転じると,その生産額は2010年度が対前年比100.0%の225億3,034万8,000円(輸出額:同118.8%の88億3,769万2,000円),2011年度が同104.5%の235億3,810万3,000円(輸出額:同95.1%の84億818万7,000円)と,わずかながらも2年連続でプラス成長を続けてきたが,2012年度は同85.5%の201億2,676万4,000円(輸出額:同92.9%の78億961万8,000円)とマイナスに転じた(図1)。
2012年度の市場はエレクトロニクス産業の不振や欧州債務危機,円高の長期化などが重なり,これらの要因が色濃く反映されたかっこうだ。光分析機器と一口にいっても紫外・可視分光光度計や赤外分光光度計,レーザラマン分光装置など様々なものが製品化され,広範にわたる産業分野の研究・開発や製品の品質管理に活用されている。
アプリケーションによって各々が独立した市場を形成している光分析機器だが,中でも,工業一般分析向け紫外・可視分光光度計やレーザ顕微鏡は国内メーカのシェアが高い。
しかしながら,ライフサイエンス分野向け装置となると海外メーカが強みを発揮している。前途が有望視されているバイオ・メディカルなどライフサイエンス分野向け市場とあって,国内メーカの奮起が期待されるところだ。ただし,そのためには産学官連携など横断的な取り組みが求められている※。
分析装置は高感度化と高速化へと進んでおり,ユーザの測定ニーズに対応した製品が開発されている。今回光分析機器のうち,この9月に開催された分析展/科学機器展「JASIS2013」で注目した製品・技術の開発動向を中心にレポートしたい。
※参考文献:日本分析機器工業会,「平成23,24年度分析産業の直面する課題と将来展望報告」