高効率化が進む太陽電池―実用化に向けての技術開発が活発化

光電変換効率を高めることは太陽電池の性能向上には欠かせない。そのため,各社は独自の構造設計,組成などを最適化する技術開発を進め,高効率化を図っている。

パナソニック,HIT太陽電池セルで24.7%の変換効率を達成

パナソニックはHIT太陽電池で,100㎡以上の実用サイズの結晶シリコン系太陽電池の変換効率として24.7%を研究レベルにおいて達成した。開発したセルの厚みは98μmという。

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今回高効率化を可能にしたのは再結合損失,光学的損失,抵抗損失をそれぞれ低減する要素技術を開発したことによるとしている。再結合損失の低減化に向けては単結晶基板上に,より高品質なa-Si膜を基板表面へのダメージを抑制しながら形成する技術を確立。その結果,開放電圧(Voc)を従来の0.748Vから0.750Vへと改善した。

また,単結晶シリコン基板を覆うa-Si層と,透明導電膜層の光吸収損失を低減するとともに,セル表面のグリッド電極の面積を減少させることで遮光損失も低減させ,短絡電流密度(Jsc)を38.9mA/cm2から39.5mA/cm2へと高めた。さらに高アスペクト化など,グリッド電極を改良して,極中を流れる際の抵抗損失の低減にも成功。これにより,曲線因子(FF)0.822から0.832へと向上させた。

今後,同社では高効率化技術の量産品への適用を進めるとしており,29%というシリコン太陽電池として理論値に近い高効率化と低コスト化を目指した技術開発に取り組むとしている。