本年2月半ば,EU議会は,2035年以降ガソリン車を禁止する法案を,賛成多数で可決しました。日本のように,自動車密度や住宅密度の高い地域では,現在の軽自動車に代わる小型EV(電気自動車)は,経済性や環境保護の点で打って付けだと,筆者は思います。が,広大な平野に町が散開するヨーロッパにおいて,乗用車・小型貨物車など(大型トラック以外)の全面的なEV化,となると,短い走行距離や充電設備不足,電池供給や廃棄の問題,など,早期の解決が難しそうな課題山積だし,あまりに性急な決定,と感じます(ただし,FT(2023/03/10)によると法案発効は無期限延期とのことです)。
製造することの一層難しい水素エンジン技術が,我が国で急速に進歩しているので,早いうちに息の根を止めておこうとの魂胆かも,と穿って見てしまいます。水素は,様々な元素の中で(一部エキゾティック原子を除けば),重さあたりの化学結合エネルギーが最も大きいので,製造法や貯蔵法が確立されれば,これからの社会に不可欠な可搬型エネルギー媒体となり得ます。水素自動車の目を摘む(遅らせる)ような規制は,人類にとって得策とは思えません。
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