Photonics Spectraの本年3月号に,通信用光ファイバに関する記事が,久しぶりに掲載されていました。それによると(わが国では周知のことですが),最近のファイバでは,損失を下げるためにコアに無添加のシリカを使い,また,非線形効果を生じさせずに少しでも多くの光信号を送るため,出来るだけコア径を大きく(屈折率差を小さく)しているそうです。これによって,伝搬損失を従来の0.2 dB/kmから0.17 dB/kmに下げることが出来るのだそうです。0.03 dB/kmの低減,ごくわずかに思えますが,100 kmのファイバ伝送を考えれば損失が3 dB下げられる訳で,大きな効果です。
また,現在主流の100-Gbps,数1000 kmの通信に使われているファイバをそのまま200-Gbps信号伝送に用いると,パルス波形の崩れが大きく,伝送可能な距離は数100 kmに落ちてしまうのが,新しいファイバでは波形崩れが小さくて中継器間隔を広げる上で有利だそうです。特に大容量通信では100波多重とかが行われていて,信号の再生中継には各波長成分それぞれを個別に処理する必要があるので中継器は大規模になります。経済性や信頼性の点から,システムを構成する際には再生中継を一段でも少なく出来ることは重要です。
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