夜中にふと目が覚めてしまった。雨戸がない部屋に寝ているから,カ ーテンの隙間から月明かりが差し込んではいるが,それでも室内は充分に暗い。なんだか目が痒いので,両目をつぶって親指の付け根でぐりぐりこすったら,一瞬,視界に光が走 った。ん,雷か?と思ったが,そんな気配は微塵もない。はてはと,布団を被って外光を完全に遮断した状態にしてもう一度目をこすってみると,またしても光が瞬いた。これではっきりとした。僕が見た光は目をこすった時に現れる感覚の光だ。
それを確かめるために,今度は布団を被ったまま,右手の人差し指で右目の右端を押してみる。そうすると,視界の左端に光が現れた。光の出現は,目の端を押したまま眼球を右左に動かした時に,より顕著になる。右目の上を人差し指で押してみると,今度は視界の下方向に光が現れた。同じことを左目でも確かめてみると,必ず抑えた場所とは反対の方向に,光が出現することが再現された。
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