沸き立つ闘志が瞳に炎となって燃え上がる。マンガの中ではよく見かける光景だ。「目は心の窓」と刷り込まれている僕たちは,なんら疑うこともなく,そこに描かれた人物の激情を感じ取ることができてしまうのだ。でも,もし本当に瞳で炎が燃えあがったらどうなってしまうのだろうと,野暮とは知りながらもついつい考えてしまう。
まず,あの炎はどこで燃えているのだろう。普通に考えれば目の中ということだろう。ただ,僕たちの目は単レンズの光学系になっているから,レンズのあっち側とこっち側では像の上下左右は反転しなければならない。事実,僕たちの網膜には反転した景色が結像していて,それを脳が処理して元の像に戻しているのだ。漫画で描かれて居る炎は普通に下から上に燃え上がって見えているから,目の中では上から下に燃え下がっていなければならない。
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