地上から宇宙まで「つなぐ」環境の実現を目指す

光衛星通信技術に注目が集まっている。地上と衛星、あるいは衛星間、さらにはHAPSやドローンを介した通信技術の研究開発が進んでいる。

まさに宇宙(そら)の高速・大容量通信時代に突入したと言えるだろう。今回、この分野を先導する情報通信研究機構・ワイヤレスネットワーク研究センター長の豊嶋守生氏に現状と将来について話を聞いた。

―NICT入所の経緯をお聞かせください

高校生の時に物理部を同級生と作り、最初に購入したのがHeNeレーザーで、レーザーに関しては早くから身近に触れていました。就職活動の訪問で当時有賀さんに光衛星通信の説明を受けた時にすごい技術だなと思い、面接を受けたのが、当時は郵政省通信総合研究所でしたが、現在の情報通信研究機構(NICT)です。

有賀さんは先端光技術や光衛星通信の研究をされていたのですが、光速が一定という特殊相対性理論がありますが、光衛星通信では相手から受信した方向にそのままレーザーを送信しても光が伝搬する時間の間に高速に衛星は既に移動していて光が受信できないという相対論的な効果を実際に考慮する必要があることを知り、その説明を受けた際に面白そうだと思ったのが入所の決め手となりました。

―NICT入所後から宇宙通信分野の研究に携わってこられてきたのでしょうか

当時、技術試験衛星Ⅵ型(ETS-VI)『きく6号』が打ち上がり、所望の軌道に投入されず苦労しましたがチームで協力し、最低限実験が可能な軌道に投入して、静止軌道と地上間の約4万km の光通信実験を成功させました。その後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に出向した時期もあり、そこで光衛星間通信実験衛星の光通信機器の開発を担当しました。

その後も小型光トランスポンダ(SOTA)を搭載した50㎏級の超小型衛星の開発にも携わり、超小型衛星と地上間のレーザー通信実験にも成功しました。その意味では、一貫して宇宙通信技術の研究開発を行なってきました。

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