地上から宇宙まで「つなぐ」環境の実現を目指す

―NTNの研究開発は、今後どのような方向に進んでいく予定なのでしょうか?

我々が新たに提案しているのは、NTNと地上系を統合するネットワークのアーキテクチャー(INCA;Integrated Network Control Architecture)です。これにはオーケストレータの役割が重要となりますが、様々な事業者のネットワークを統合的に制御して相互接続を実現する技術の研究開発を行なっています。

事業者はLEO、GEO、HAPSなどといった異なるネットワークルートがあるので、やはりつながりにくいところもあります。INCAではトラフィック状況に応じた通信品質のネットワーク制御が可能で、異種通信事業者間でリソース調整もできるようになります。これを段階的に具体化していっているのが、今の状況です。

―宇宙分野における光技術・製品の役割や期待について教えてください

光は高速通信が可能な媒体です。電波は帯域に制限があるので伝送容量に限度がありますが、光は数百テラHzの周波数なので、電波に比べて周波数帯域幅が格段に広くなり、帯域制限なく情報伝送できるのが、一番大きなメリットだと思います。

例えば、光ファイバー用途でも新しい市場や適用領域を模索されているのではないでしょうか。Starlinkにも導入されていたり、色々と使えるシーンを目にする機会も出てきています。光ファイバー製品を宇宙に市場を求めていくと良いのではないかと感じています。

日本企業の光技術や製品は強みがあるので、宇宙分野に是非転用して頂き、市場を広げてほしいです。もちろん、宇宙応用を考える場合には、地上とは環境が異なりますので、それなりのノウハウが必要です。しかし、上手く自動車部品等をモディファイされて宇宙分野に転用されている企業もありますので、応用展開が期待されています。

―お休みの日にされていることや、趣味がありましたら教えてください。

最近はなかなか時間が取れませんが、少し前までは地ビール作りをしていました。東急ハンズでキットを買ってきて自宅でやりますけど、結構手間かかりますが楽しいです。だいたい20リットルぐらいのタンクが1回ででき、瓶ビール2ダースくらいは作れます。意外と美味しいですよ。缶のモルツを水と混ぜてボイルして、ホップや酵母と砂糖を入れるとアルコール分解されてアルコール度も決まります。滅菌が大切で子供が走り回る部屋で作るのは大変でした。

もう一つは一定温度での保温が大事なのですが、衛星開発でいらなくなった金色のMLIで包んで、温調回路も自作し、宇宙技術で温度調節して地ビール作りしたことがあります。最近は他にも、家庭菜園で枝豆を作ったり、パッションフルーツのグリーンカーテンを作ったり、打ちっ放しに行っています。◇

(月刊OPTRONICS 2024年9月号)

同じカテゴリの連載記事

  • 情熱を持ち,IOWNが描く未来を実現していく  日本電信電話株式会社 先端技術総合研究所 所長 岡田顕氏 2024年08月10日
  • 人を大切にし,働きやすい会社を目指して ㈱日本レーザー 代表取締役社長 宇塚達也 氏 2024年07月10日