4. 色の見え方
前号において,色がどのように作られるかということについて説明した。この章では,その色を人間がどのように認識しているのかということについて説明する。このことを理解するためには,まず,人間の眼の構造を知る必要がある。
4.1 人間の眼の構造
図2.6は,人間の眼を模式的に表したものである。人間の眼は,実像を作り,それを光電変換するる光学系である。角膜から眼の中に入る光は,レンズの機能をもった水晶体によって網膜に集光され,像を結ぶ。水晶体は柔らかく,毛様体と呼ばれる筋肉によって固定されている。この筋肉が伸び縮みすることにより,水晶体が厚くなったり薄くなったりする。水晶体が厚くなるとレンズの焦点距離が短くなり,薄くなると長くなる。このことにより,人間は,近くのものにも遠くのものにもピントを合わせることができる。実際には,水晶体だけでなく,角膜もメニスカスレンズの役割をして結像に寄与している。
網膜には,光電変換する視細胞があり,デジタルカメラの撮像素子の役割を果たしている。光電変換された電気信号は,神経回路網を介して脳に到達し,物体が認識される。
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