風立ちぬ ─ 光と影の仕業 ─

月谷昌之介

風立ちぬ。堀辰夫の小説,かつてのアイドルの歌の曲名,アニメ映画のタイトルなど,この言葉で何が思い浮かぶかは人さまざまだろう。僕がこの言葉に感じるイメージとしては,なんとなくふにゃふにゃと過ごしてしまった夏も終わり,これからしっかりと生きるぞ,という季節のけじめにさっと吹く秋風,という感じだ。ちょうど10月くらいだろうか。

ひかりがたり1310-1

一抹の寂しさと颯爽とした決意が入り混じった味わい深い言葉だ。僕は今の今まで,この言葉は秋の季語だと信じていた。ところがである。思い立って歳時記を調べてみたらこの言葉が載っていない。
もしかしたら「風立つ」という言葉がオリジナルであったかと思い,それも調べてみたがやっぱり無い。

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