3. 竹利活用の可能性
竹は旺盛な繁殖力を持ち,草丈による周辺の日照問題や大量の笹の葉の落下・堆積,他の植生への侵害,近年では経済成長とともに竹林の需要の減少により,放置竹林などによる竹害が問題となっている。本研究では,竹の持つ新たな機能として紫外線吸収効果について明らかにすることができ,その中心的役割を担う物質としてp-クマル酸と4-ビニルフェノールを同定した。これらの研究成果については特許出願(特願2022-006459)が完了している。竹の紫外線吸収効果の証明は,日焼け止めとしての化粧料としてだけでなく,紫外線を吸収する車窓フィルムやサングラスの素材,日傘や洋服の繊維素材,調味料ボトル等の遮光商品の素材など用途拡大に繋がる可能性を見出した。竹の有効利用は,竹による環境問題を改善し,「生物の多様性と居住地の保護」「天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用」にも繋がると考えられる。
謝辞
本研究を実施するにあたり,日焼け止めの試作にご協力いただきました㈱ボタニカルファクトリーに感謝致します。本研究は,(国研)科学技術振興機構次世代人材育成事業スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校である鹿児島県立錦江湾高等学校との高大連携事業として行われたものであり,本プロジェクトメンバー(新名 心:現 崇城大学,藤田 源紀:現 香川大学,寺師 明輝:現 鹿児島大学,川内 美菜:現 福岡大学,有村 心桜:非公開,川添 美菜:現 鹿児島県立短期大学,西府 美音:現 鹿児島県医療法人協会立看護専門学校,米澤 七海:現 鹿児島女子短期大学)並びに鹿児島県立錦江湾高等学校関係者の皆様に感謝申し上げます。
参考文献
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■Bamboo shields UV rays and may protect against health hazards caused by UV rays
■Katsuko Kajiya
■Faculty of Agriculture, Kagoshima University