4. おわりに
著者らが行った最近のLTS計測の中から,半導体露光用EUV光源の構造解明に関する研究を紹介した。
計測対象は直径0.5mm程の「点」光源であるが,その内部構造を詳細に計測することで,電子状態まで遡り,EUV出力を定量的に評価可能とした。これはLTS計測が有する非接触かつ局所計測が可能な特性を利用したものであるが,散乱光強度と発光強度比を500倍ほど改善できたことが決定打となっている。
すなわち新たな分光器の作製により,LTS計測最大の課題である迷光の問題を除去しつつ,検出温度下限を100倍以上改善し,イオン項計測を可能とした事が突破口となった(分光器を含む詳細な説明は,文献10)にある)。
謝辞
本研究の一部は,(独)日本学術振興会(JSPS)科研費若手研究(A)15H05472の助成を受けたものです。
本研究の遂行には,九州大学大学院の内野喜一郎教授,大阪大学の西原功修名誉教授,米国Purdue大学の砂原淳博士,ギガフォトン㈱の柳田達哉氏,GeorgSoumagne氏,神家幸一郎氏,戸室啓明氏,和田靖典氏,國島正人氏,溝口計氏,児玉健氏をはじめ,多くの方々のご協力をいただきました。御礼申し上げます。
2) B. Kim et al. Appl. Phys. Lett. 88 141501 (2006).
3) V. Bakshi et al. EUV Lithography https://doi.org/10.1117/3.769214, PDF ISBN: 9780819480705 (2008).
4) 富江敏尚:EUVリソグラフィー用プラズマ光源に関 する技術 的考察,産総研技術報告 AIST01-A00007 (2002).
5) 溝口 計 他,応用物理/88巻(2019)1号/p. 41-45, https://doi. org/10.11470/oubutsu.88.1_41
6) D. H. Froula et al., Plasma Scattering of Electromagnetic Radiation 2nd ed. (New York: Academic) (2011).
7) A. Sasaki et al. J. Appl. Phys. 107 113303 (2010).
8) K. Tomita et al. Appl. Phys. Express 8 126101 (2015).
9) K. Tomita et al, Scientific Reports 7 12328 (2017).
10) Y. Sato et al. Jpn. J. Appl. Phys. 56 36201 (2017).
■Division of Quantum Science and Engineering, Graduate School of Engineering, Hokkaido University, Associate professor
(月刊OPTRONICS 2020年8月号)
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