エキシマレーザーは,1975年に現在の原型が登場してからめざましい進歩をとげたレーザーであり,レーザーの中では比較的新しいレーザーです。アルゴン,クリプトン,キセノンなどの希ガスとフッ素,塩素,臭素などのハロゲン原子がくっついた希ガスハロゲン分子をエキシマと呼んでいます。
これらの分子は励起状態でしか存在しません。エキシマとは,励起状態分子の意味で使われ始めました。励起状態でのみ分子の形で存在し,レーザー選移で下準位に落ちると,分子の形は壊れて別個の原子になってしまいます。すなわち,レーザー上準位と下準位の種類が違うために,レーザー選移の下準位がいつでも空の状態にあります。
したがって,励起状態のエキシマ分子を作れば,それだけで反転分布が形成されたことになります。エキシマレーザーの励起には,希ガスとハロゲンガスの混合ガス中を強力な電気パルスを瞬間的に通すことによって行うのが普通です。
エキシマレーザーは,いままでは紫外波長域における高出力レーザーとして,研究用に使われてきただけですが,最近の進歩によって医療,眼の手術などにも利用されるようになってきました。さらに,パソコンなどの心臓部である半導体集積回路を作る際の光源として,ArFエキシマレーザーが使われています。
しかしながら,腐食性の高いハロゲンガスを使うことや,高電圧パルスを発生させる装置が必要なことから,次第に固体レーザーに置き換わってくるでしょう。
こうやって見てみると,ガスレーザーは種類の多さもあって,いろいろなところで使われてきました。しかしながら,ガスは発光原子・分子の密度が低いため,大型にならざるを得ないことから,特殊な用途を除いて,後発の固体レーザーやファイバーレーザーに席を譲る時代がやって来ています。