ガスレーザー

世界で最初に発振したのは,メイマンによるルビーレーザーですが,単発のパルス発振でした。これとほぼ同時期に,ベル電話会社のジャバンによってヘリウムネオンレーザーの連続発振が実現されました。もちろん,ルビーレーザーは3準位系で,ヘリウムネオンレーザーは4準位系です。この後で,希ガス,金属蒸気,いろいろな分子気体など,いろいろなガスから数千に及ぶ波長でレーザー発振が確認されています。

出力についてもきわめて広範囲にわたっています。最も弱いものでは1 mW以下ですし,10 kWを越えるものまであります。波長範囲も,紫外から可視,そして赤外にまで及んでいます。もっと長く,ミリ波にまでも及んでいるのはガスレーザーの特徴でしょうか。

ガスレーザーの種類がこんなにも多いのは何故でしょうか。答えは簡単です。レーザー管と呼ばれるガラス容器の中に違うガスを入れて発振実験をするのが簡単なためです。

応用面では,半導体レーザーや固体レーザーに押されがちなガスレーザーですが,他にない特徴も持っています。可視域では半導体レーザーの方がポピュラーですが,周波数標準となるような特殊なものはまだガスレーザーですし,短い波長を出すことができるのもまだまだガスレーザーが勝っています。

図2
図2

このようなガスレーザーのもっとも簡単な構造は,図2のようにレーザー管の中にガスを詰め,両端に共振器ミラーを置き,ガス中を流れる電流によって励起されるものです。ガス中を電流が流れることを放電と言います。放電内の電子がガス原子や分子に衝突してエネルギーを与えます。

レーザー発振を行わせるためには,エネルギー準位の条件と同時に,放電によるエネルギーを吸収すること,熱をうまく逃がすこと,レーザーの下準位にある原子を早くに消してしまうこと,を行わせる必要がありますので,一種類のガスだけを使うことはほとんどなく,大抵は幾種類かのガスをある混合比で混ぜ,なおかつ最適なガス圧で使うことが多いのです。

混合ガスの種類やガス圧は,レーザー動作する原子,分子,イオンなどの種類にもよりますし,また出力,波長,レーザー管の設計などの動作条件によっても変わります。

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