プラットフォーマーとして成長を目指す
―ビジネスの絵はどう描いていらっしゃいますか?
スタートアップとしてとにかく早く実機を世に出すのが大事で,ここ5 年ぐらいで一台売れるかどうかが大きいと考えています。まずはいいスペックのハードウェアを作り,応用をちゃんと示した上で国内外を問わず売っていきたいと思っています。時期にもよりますが,1,000量子ビット以上の製品にしたいですね。

今,量子コンピューターでIBMが一番有名なのは,「IBM Q」が世界的に売れているからです。まだ実用的な量子計算ができるわけではありませんが,いち早く市場に出すことでこれだけ広まったのです。我々もしっかりと製品を出して,光方式を潰さないようにやっていこうと思っています。
―ハードウェアの後はまた別のビジネスモデルがあるのですか?
これは最終的に何になりたいかという問題です。さらなるハードウェアメーカーになるのか,アプリケーションもやってプラットフォームビジネスをするのかという2 つがあると思いますが,後者の方が成長すると思っています。
今はOptQCしか光量子コンピューターを作れませんが,製造方法が確立すれば人件費が安いところに持
っていかれるのが常なので,やはりプラットフォーマーになるべきだと思います。
―OptQC を経営する上で大切にしたい,心がけたいことはありますか?
個人個人が社内ではコヒーレンス,お互いの力がちゃんと足し合わさって大きな力となる,そういう環境にしたいと思っています。これから古澤研のメンバーも採用すると思いますが,皆とても優秀です。そういう人をどう活かすかが僕の責任なので,制度設計などで失敗しないようにと思っています。
―休日にしていることや趣味はありますか
もともとテニスをやっていて,今年の夏は理研のメンバーと,5時20分に終業して19時ぐらいまで打っていました。あとは音楽鑑賞ですね。学生時代は音楽を聴きながら実験したりしていて,ミスチルとかスピッツとかヨルシカのライブに行ったりしていました。
結構考えすぎちゃうタイプですが,運動したり,少し音楽を聞いたりするだけでも気分がガラッと変わるので,そういったものを取り入れるのが好きですね。
(月刊OPTRONICS 2025年2月号 Human Focus「光量子コンピューターは世界を制するか 若き経営者の挑戦」)