開発のプロと経営のプロがタッグ 新興レーザメーカーは新たなステージへ

―半導体市場へはどのようなアプローチをお考えですか?

岡田 これまでは出会った案件を業界関係なく都度追いかけていましたが、今はそうではありません。パッケージ基板メーカーや半導体パッケージ材料メーカー、いわゆる我々にとってのエンドユーザー様と加工検証を進め、そこで得られた知見を活かして、直接の顧客である装置メーカー様と最適なレーザ発振器の開発につなげていくということを行なっています。

長岡 そのためにパッケージ基板メーカー様や材料メーカー様とNDA(秘密保持契約)を結び、材料に対する我々のレーザの最適化を進めています。ここで良い条件が出せれば、加工機メーカーに採用を検討いただけることになります。当社の株主に加工装置メーカーがいらっしゃいますが、そうした流れで実際に加工装置への搭載に向けた検討を進めていただいています。

半導体向け材料やレーザ加工装置の分野は、日本が特に強い領域です。我々は日本の半導体の微細化に貢献し、小規模ながらも産業の革新に寄与することが私たちのミッションです。ビジョンとしては、参加しているセグメントで最も頼りにされるレーザ技術のパートナー企業になることを目指しています。

―御社の深紫外レーザーで超微細な穴あけ加工の最新成果の発表もありました

岡田 東京大学、味の素ファインテクノ、三菱電機の各機関との共同研究成果です。先ほどのNEDOのプロジェクト終了後に設立された、東京大学の小林洋平先生(物性研究所・教授)が代表を務めていらっしゃるTACMIコンソーシアムとも連携し取り組みました。

三菱電機様の加工装置に我々の266nmの深紫外レーザが搭載され、東京大学でAIを活用し、味の素ファインテクノのABF(味の素ビルドアップフィルム)にφ3μmという微細な穴あけ加工に成功しました。こうした成果は、レーザ関係の学会以外でも発表しています。例えば、アメリカの半導体パッケージ関連の学会であったり、台湾での半導体に関する学会であったりです。実際にエンドユーザーが参加しているところで発表しているのは、これまでと大きく異なります。  

長岡 このような発表をすることで、間接的であっても「そんなことができるのか」とお客さんに届いていく可能性があります。実際に問い合わせもあります。そのような話が来ると、生産を急ぐ必要が出てきますから、我々が当初計画していた開発ロードマップを見直していくことになるでしょう。他所では作ることができないものなので、我々が市場を創っていくという戦略で進めています。

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