開発のプロと経営のプロがタッグ 新興レーザメーカーは新たなステージへ

経営・事業体制を整える改革プランの実行

長岡さんが経営を引き継がれることになった経緯を教えてください

長岡由木彦(以下、長岡) 経緯という意味では、株主のベンチャーキャピタルの方が経営者を探していて、間に入っていたエージェントの方が私を見つけてくれて紹介されました。ですから、以前から岡田さんのことを知っていたというわけではありませんし、私はレーザのレの字も知らない状態で、株主との最初の面談に臨みました。「技術は知っている人がいるから、方向性だけ示してくれればいい」ということで、2020年末頃に初めて会社を訪れて当時の経営陣との面接を受けました。

私は長年電機メーカーに勤めていました。そこでビデオ事業のセールス&マーケティングを担当し、特に海外を中心に働いていました。この時に、経営を理解していないと技術を活かすことができないというのを痛感することになりました。そのため、『V字回復の経営』などの著者で、事業再生の第一人者で知られる三枝匡さんが経営されていたミスミという会社に飛び込み、そこで徹底的に事業戦略を学びました。

その後、自分でそれを実践したいと思い、技術は素晴らしいが成長に苦労している会社を探していました。そうして出会ったのが、スペクトロニクスなのですが、最初の面接で株主の方の説明以上に大変そうだなという感触がある一方で、やる価値がありそうだと思いました。私が社長に就任した当時は受託開発型で、やればやるほど工数もかかり赤字が増える体質でした。

そこで、「世界で最も頼られるレーザ技術のパートナー企業になる」という創業者のビジョンはそのままに事業戦略を白紙ベースで作り直しました。いわゆる100日プランで、特定のアプリケーションに特化し、絞りと集中で量産案件を獲得する方向で体制を作ることを決めました。

具体的には、微細加工に最適化したピコ秒短波長レーザを開発し、特に半導体パッケージ基板の微細加工市場セグメントに注力することにしました。現在、市場の8割を占めるCO2レーザより微細な加工ができるニーズに応え、ニッチな市場でトップシェアを目指しています。これを実現するために、戦略的なパートナーシップを強化し、開発力や生産技術を磨いてゆくことが重要になります。

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