リコーは、インクジェット技術を活用したペロブスカイト太陽電池の生産体制構築に関する提案が、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択された(ニュースリリース)。これを受け、ペロブスカイト太陽電池の量産を2030年までに開始することを目指し、生産子会社のリコーインダストリー 東北事業所に生産拠点を整備する。
再生可能エネルギーの導入を増やすには、発電設備を設置できる場所の確保が欠かせない。しかし、従来のシリコン系太陽電池では、耐荷重性の低い建物の屋根や壁面などへの設置が難しい。薄く、軽量で、曲げられるペロブスカイト太陽電池は、こうした場所を新たな発電面として利用できる可能性がある。一方、本格的な普及には、発電性能や耐久性の向上に加え、安定した品質で大量に製造する技術と、製造コストの低減が必要となる。
このうち、生産性とコストの課題に対して同社が用いるのが、長年培ったインクジェット技術だ。微細な液滴を制御し、必要な場所に必要な量だけ材料を塗布する。この技術を、ペロブスカイト太陽電池の製造に応用する。リコーは、インクジェットヘッド、インク・サプライ技術、プリンティングシステム技術を組み合わせ、ペロブスカイト太陽電池の全機能層を所定のパターンに形成する工程に活用している。材料を効率よく使い、製造工程を効率化することが狙いだ。
リコーは、複合機の開発で培った有機感光体の技術も活用する。有機感光体は、光が当たると電気的特性が変化する有機材料で構成され、光を受けて電荷を発生させる性質を持つ。同社はこの技術を起点に有機系太陽電池の研究を進めてきた。その技術をペロブスカイト太陽電池にも応用し、性能向上と量産技術の確立に取り組む。
同社の技術開発・実証事業は、2025年9月にNEDOのグリーンイノベーション基金にも採択されている。今後、ペロブスカイト太陽電池を構成する全ての機能層の形成にインクジェット技術を活用し、製造工程の効率化を図り、低コストで安定して供給できる体制の構築につなげる。将来はGW規模への生産拡大も見据え、2030年までに年間数百MW規模の生産体制を目指し、研究開発・実証から量産・事業化に向けた取り組みを進める。

写真 インクジェット印刷で作製したペロブスカイト太陽電池





