矢野経済研究所は,監視カメラ/システム国内市場を調査し, 品目別の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。
それによると,2023年度の国内監視カメラ/システム総市場規模(ベンダー出荷金額ベース)は前年度比110.9%の1,999億円となった。VCA画像解析システムやクラウドカメラサービスが,DX推進をサポートするカメラソリューション(マーケティングや安全管理,交通管理,医療現場などでの活用)として,セキュリティだけでなく,利用用途が多岐に渡ったことで,監視カメラ/システムの需要が拡大している。
さらに,そうした利用用途への活用のために必要なIP(ネットワーク)カメラの伸長もあり,市場全体は堅調に拡大したという。
一方,アナログ系カメラやそれに関連する周辺機器(DVR,エンコーダなど)は減少基調になっているが,解像度の高いアナログHD(High Definition)カメラの浸透に加え,IPカメラよりも安価であることから,アナログ系カメラの需要は今だ根強く,大きな需要減少には至っていないとしている。
今回の調査で注目した,クラウドカメラサービスは,現場を遠隔で管理するため,IP(ネットワーク)カメラで撮影した画像データをインターネットを経由してクラウド上に記録・保存するサービス。同市場における累計稼働台数は,IPカメラの内数となっている。
クラウドカメラサービス国内市場における2023年度のクラウドカメラの累計稼働台数は44万台であった。2024年度の累計稼働台数は54万7,500台の見込みで,大きく伸長している。今後も順調に推移していき,2029年度の累計稼働台数は131万台まで成長すると予測した。
現在,比較的安価に導入できるサブスクリプション型サービスの提供が一般化し,主流となっている。こうしたなか,小規模事業者や中小企業などでも容易にマーケティングなどのカメラソリューションを享受できるようになったことで,市場の裾野が拡大しているという。
将来展望について,2024年度の国内監視カメラ/システム総市場規模(ベンダー出荷金額ベース)は,前年度比112.7%の2,252億円の見込み,2029年度には4,108億円まで成長すると予測した。VCA画像解析システムとクラウドカメラサービスが市場をけん引し,今後もマーケティングや画像解析によるカメラソリューションを中心とした提供が想定されることから,2024年度以降も市場は堅調に推移するとしている。
また,国内監視カメラ/システム総市場は,カメラ本体(ハードウェア)を中心に販売するのではなく,画像解析システムなどのソフトウェアを基盤とした付加価値ビジネスとして,今後さらに活発化するとした。
一方で,今後はソフトウェアを含めたソリューション全体でも差別化が難しくなる可能性がある。各サービス提供事業者においては映像データ利活用など,有益な画像解析や情報分析サービスを提供しながら,提案できるカメラソリューションにどのような特色をもたせ,進展させていくかが重要になるとしている。