公大,フォトクロミック微結晶をガラス上に配列制御

大阪公立大学の研究グループは,直線や0から20までの数字の形をした凸型の構造物をガラス基板上に作製し,フォトクロミック結晶の一種であるジアリールエテンを粉末化してから加熱,冷却したガラス基板上に結晶化させると,ガラス基板に作製した凸型構造物に沿って微結晶が同じ向きに配列することを見出した(ニュースリリース)。

光を照射することで2つの異性体間で可逆的な結合の組み換え反応が起こり,その色が変化する分子をフォトクロミック分子という。その一種であるジアリールエテンの結晶は,紫外光を照射すると分子構造の変化に伴って色が変化するだけでなく,さまざまな形状変化を起こす。

これらの結晶の光変形には,分子構造だけでなく結晶中での分子の並び方が影響するため,それらを制御しながら結晶を作製する技術を構築することは重要となっている。

研究グループは,昇華法を用いて基板上での結晶の位置や配向を制御するため,集積回路の製造工程として知られるパターニングに着目した。まず,直線および0から20までの数字の形をした,数ミクロンの高さおよび十数ミクロンの幅をもつ凸型構造物をガラス基板上に作製した。

次に,ジアリールエテンの粉末結晶を作製したガラス基板表面に昇華させることで,ジアリールエテンの微小結晶が凸型構造物上に生成するとともに,結晶の配向制御ができることを世界で初めて実証した。

研究グループは,この研究で開発した結晶パターニング法は,ジアリールエテンと同様に低分子量有機化合物である半導体材料および医薬品に対して用いることができるとしている。

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