大津元一氏(東京大学名誉教授/東京工業大学名誉教授)が代表理事を務めるドレスト光子研究起点はこの10月18日,第2回オフシェル科学大賞の受賞者を決定した(ニュースリリース)。
同大賞を受賞したのは,横浜国立大学教授の瀬川悦生氏で,オフシェル科学の発展の促進に資する優れた問題を提案したことが受賞の理由となっている。同大賞を主宰するドレスト光子研究起点は,ナノ寸法の微小な量子場であるドレスト光子,その原理を扱うオフシェル科学の基礎研究を行なう研究機関で,その研究振興のためにオフシェル科学大賞を企画した。この賞は研究成果を表彰するだけでなく,未踏の問題を提起した研究者を表彰するもので,将来の問題解決に向けて,その研究に対して助成する。
今回,瀬川氏が受賞した提案の名称は「ドレスト光子の出力最大にする最適な閉曲面上の埋め込みを探せ」で,その概要は「従来のネットワークの隣接関係のみが反映される標準的モデル(グローバーウォークモデル)ではドレスト光子のエネルギー移動の独特の不思議な振る舞いを再現するには不十分である。そこで,このモデルから脱却し,「ネットワークの背後にある閉曲面埋め込み」という幾何的な新たな考察を加え,ドレスト光子の挙動が端的に再現されるモデルを構築し,新しい世界を拓く。
これが実現すればドレスト光子,オフシェル科学,そして生体微生物によるエネルギー輸送などへ波及し,広範な分野の相乗効果が期待される。上記の実現のために与えられたネットワークに対し,「初期にはいろいろな場所に訪問し,その経験をいかして時間の経過とともに『自律的に』適切な経路を選ぶ」ようすが記述される閉曲面上の埋め込みを探すことをここに問題として提示する」というもので,今後これらの問題の解決が期待される。