浜松ホトニクスは,画像処理・計測装置の設計技術と独自に開発したZyncscan技術を応用することで,生理学的に生体に近い状態を模した細胞集団の3次元蛍光画像を高速に取得すると同時に,細胞・細胞集団の大きさや形,数,状態などを解析する細胞解析装置「CYTOQUBE ライトシートマイクロプレート サイトメータ C15200-01RGBU」を開発した(ニュースリリース)。
細胞を用いた創薬スクリーニング工程では,よりよい評価のために,生体の生理学的状態をより正確に反映した細胞集団が使用され,近年,3次元的な構造を有する3次元細胞集団を用いた評価が増えている。
現在,3次元細胞集団を用いた創薬スクリーニングは,主に蛍光顕微鏡イメージングを搭載した機器を用いて行なわれているが,多大な時間と労力を要する。この課題解決のため,同社は,3次元蛍光画像取得および解析にかかる時間を大幅に削減し,創薬スクリーニングの効率を向上させる装置の開発に取り組んできた。
従来手法を用いた3次元蛍光画像取得・解析には,少なくとも数時間を要していた。この製品では高速画像取得に加え,画像取得と解析を並行処理することにより,3次元細胞集団の3次元蛍光画像取得から解析結果出力までを最短で3色21分で行なうことができるという。
また,従来手法の3次元蛍光画像取得・解析では,煩雑な設定が必要だった。この製品では,Zyncscan 技術とソフトウエアのユーザーインターフェースの工夫により,シンプルな条件設定と,直感的な操作でユーザーの負担を減らすとしている。
さらに,正確な解析の妨げとなる細胞以外に由来する蛍光を自動除去することで,細胞・細胞集団の正確な蛍光画像を取得し解析することができるという。
Zyncscan技術を応用したこの製品の仕組みは,試料の真下方向からシート状の励起光(ライトシート励起光)を照射し,XZ断層画像を斜め下方向から取得する。マイクロプレートをライトシート励起光と直交する方向に移動させながら連続的にXZ断層画像を取得することで,圧倒的なスループットで3次元蛍光画像を構築する。
また,XZ断層画像の取得と並行して,細胞以外に由来する蛍光(バックグラウンド蛍光)をリアルタ
イムで除去するという。
同社は,がん治療薬をはじめとする創薬の研究開発にこの製品を用いることで,生理学的に生体に近い細胞・細胞集団への新薬候補の作用を解析する創薬スクリーニング工程の効率を大幅に向上し,創薬研究の加速化に貢献することが期待されるとしている。