宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,JAXAが開発したSLR用小型リフレクター(Mt.FUJI)が搭載されたキヤノン電子の超小型衛星(CE-SAT-IE) に対してつくば局から衛星レーザー測距(SLR)を実施し,2024年8月2日午後8時32分(日本標準時)にMt.FUJIからのリターン(反射光)の取得に成功した(ニュースリリース)。
近年,人工衛星や宇宙ゴミの増加により,宇宙状況把握(SSA)の重要性は高まっている。レーダや光学観測による観測能力の向上とともに,特に低軌道においては地上からの視認性の向上が有効であることから,研究グループは,軽量・小型であり,低軌道で汎用的に利用可能なSLRリフレクターとしてMt.FUJIを開発した。今回のリターン取得により,この小型リフレクターの軌道上性能が実証できたことになる。
運用を終えた衛星やロケット上段などは運用中の衛星にとって衝突の脅威となりうる物体だが,これらの物体にあらかじめ,この小型リフレクターを搭載することにより地上からの視認性を高めることは,衝突回避の助けになる。
加えて,小型リフレクターを搭載することでGNSSを用いた軌道決定精度を検証可能となるため人工衛星の精密軌道決定にも役立つ。
研究グループは,今後宇宙活動における安心・安全が保たれるよう,多くの衛星,ロケットにMt.FUJIが搭載されるよう,働きかけを行なっていく予定だとしている。