名古屋大学の研究グループは,生物も利用するコレステリック液晶(CLC)に蛍光色素を導入したマイクロメーターサイズで粒径の揃った蛍光性コレステリック液晶(FCLC)粒子を開発した(ニュースリリース)。
ユニークな円偏光発光(CPL)特性を持つ材料の開発は,先端材料科学における有望だが挑戦的なフロンティアであり,これらの材料はその興味深いキラリティにより極めて重要な応用が期待されている。
最近の研究では,内部または外部環境の変化によってキラリティ反転が可能なCPL材料に焦点が当てられており,これによって応用の可能性が広がっている。これらの研究では,キラルドーパント濃度を変化させることで,キラルポリマーのキラリティを制御している。
しかし,キラルドーパント濃度によるCPLのキラリティ反転は報告されていない。研究グループでは,偏光可能な構造色とCPLを示すFCLCの調製について報告し,キラルドーパント量を変化させることでCPLの方向が反転し,偏光可能な構造色とCPLの回転方向が揃うか,あるいは異なる系が得られることを実証した。
この研究により,CPLのキラリティ反転プロセスにおいて,ねじれ粒界相形成が重要な役割を果たすことが確認された。さらに,蛍光性コレステリック液晶粒子のユニークなキラル構造色と蛍光を利用して,洗練された二重検証システムを開発した。
研究グループは,この材料は,キラルドーパントの量に応じて色相を変える円偏光性構造色と導入した蛍光発色性モノマーが示す円偏光発光を利用した,偽造防止用などの特殊機能顔料としての利用が期待されるとしている。