宇都宮大学とJVCケンウッドは,インタラクティブな体積映像を描画できるボリュメトリックディスプレーシステムを開発した(ニュースリリース)。
ボリュメトリックディスプレーは,画素を実世界に体積的に生成することで映像を描画する技術。ヘッドマウントディスプレーのようなデバイスを装着することなく,360°方向から複数人が3D映像を見ることができる。
これまで研究グループでは,フェムト秒レーザーによって生成された画素と空間光位相変調デバイス(LCOS-SLM)を利用したホログラフィックレーザー描画法を提案し,それを用いたボリュメトリックディスプレーを開発してきたが,映像サイズの大型化に課題があった。
今回,二つのレーザー描画を連携動作するディスプレーシステムとJVCケンウッドのLCOSデバイスを採用した描画法を開発することで,高い画素密度かつ手のひらサイズの体積映像を実現した。さらに,外界の動きを認識し,体積映像描画に反映させるシステムを構築することで,体積映像をユーザーがリアルタイムに操作できるインタラクションを可能にした。
開発したボリュメトリックディスプレーシステムは,二つのホログラフィックレーザー描画光学系から構成される。それぞれの光学系は,ガルバノスキャナーと可変焦点距離レンズで構成される3次元ビーム走査システムを有することによって,10×10×10cmの体積中に発光点を次元的に生成できる。描画パターンをシステムに入力することで,任意のパターンを描くことが可能となっている。
ユーザーは,このような体積映像コンテンツを鑑賞でき,さらに手の動きを介して映像をインタラクティブに操作する体験ができる。
研究グループは今後,ビーム走査と空間光変調器による集光点設計の連携描画を,ハードウェア改良およびアルゴリズム開発の両面から推し進め,より複雑な形状の物体を体積映像として表現できるボリュメトリックディスプレーシステムの実現を目指すとしている。