リコー,現実空間に全方位映像を映す装置を開発

リコーは,同社の新事業創出に向けたプログラム「TRIBUS 2020」において,現実空間に全方位映像を映し出すことのできる投影装置を開発したと発表した(ニュースリリース)。

コロナ禍でEC化が急速に進み,小売店やショールーム,展示会などのリアルな場所では,集客力向上のための新たな価値の創出が課題となっている。

このような状況を受け,リアルの場所は物を展示・販売するだけの場から,デジタルと融合した“体験を提供する場”への急速な変化が求められている。同社が今回開発した装置は,世界的に急増している仮想空間の三次元デジタルコンテンツを,現実の世界に同化するかのように立体投影し,顧客とコミュニケーションをすることで,新たな体験価値を提供するもの。

この装置は,装置の真下から上に向けて光を投射し,独自開発の特殊な回転スクリーンに当たった光の残像で立体映像を表示させる体積走査型の投影装置。これにより,全方位から立体映像を見ることが可能。

現時点では,人の頭のサイズ(直径200mm 高さ250mm)で立体映像のカラー動画表示を実現している。これまでは,特殊な眼鏡や専用のヘッドセットを通して立体映像を見るものが大半だったが,今回の装置では,全方位から裸眼で立体映像を見ることが可能になった。

開発に当たっては,三次元酔いを起こさずに,現実空間に実在するような完全立体表示を実現することにこだわったという。映像は現時点で約3.7億ボクセルのカラー動画立体表示を実現している。(参考:フルハイビジョンの平面映像では二次元像を構成する画素の数は約207万画素)

今後,2021年度中に試作機による実証実験や試験的な稼働を始め,2022年度中の実用化を目指す。まずはデジタルサイネージ用途として,2021年3月から「WARPE」(ワープイー)ブランドとしてビジネスパートナーを募り,市場探索を開始する。

さらに将来的には,働く場における立体映像によるリモート会議や立体構造物のシミュレーションやモデリング支援,教育分野における立体構造把握支援,エンターテインメント,家庭用バーチャルアシスタントなど,幅広い用途でデジタルコンテンツを使ったコミュニケーションの高度化に貢献するとしている。

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