今回,画像センシング展2024(6月12日~14日 パシフィコ横浜)で,新製品について取材した。
米TELEDYNEは,ステレオカメラによる高精度デプスセンシング「Bumblebee X」を展示した。24cmのベースラインがあり,オンボード処理と低遅延が特長となっている。
ソニーのCMOSイメージセンサー(1/1.8インチ,3MP,グローバルシャッター,カラー)を搭載し,作動距離は0.5m~20m。6種類の視野角(60°×50°~105°×180°)のモデルを用意している。用途として,ロボットアームやロボットナビゲーションシステムなどを想定している。
価格は未公表ながらもユーザーに届きやすい価格だとしているほか,今後はベースライン12cmモデルの開発も予定しているという。
パナソニックは,高感度・高解像度でスキャンレスのハイパースペクトルカメラを展示した。一般的なハイパースペクトルカメラはモザイクフィルタ方式や内臓スキャン方式を採用されているものが多いが,この製品は圧縮センシング方式を採用しており,目視やRGBカメラでは困難な僅かな色の識別を可能としている。
圧縮センシング方式とは,分散ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector)の構造を用いた特殊フィルタをイメージセンサに搭載した方式。この特殊フィルタは,観察対象から放たれた光を,画素ごと・波長ごとに強度をランダムに変えて通すように設計されている。
これがデータの“間引き”に相当し,適切に“間引かれた”状態で検出することで,“間引かれる前”の状態がソフトウェア上で復元可能になる。この技術では,ソフトウェアが色を分ける機能の一部を担うことになり,従来のハイパースペクトル画像撮影技術が抱えていた,感度の問題を大幅に改善した。
これにより,従来比10倍の世界最高感度で表面欠陥や異物、状態などを識別したり,デジタルカメラ技術の融合による4K撮影やオートフォーカス機能を搭載することで幅広いユーザーの利用が期待できるという。
波長分解能は10nm(420~900nm),フレームレートは1~30fps(条件による)。価格は従来のものと比べて高くなるが,独自のユーザーインターフェースなどによりこれまで専門家しか使えなかったハイパースペクトルカメラをより広い市場に広めていきたいとしている。
中国Gpixelは,マシンビジョン向け5MPグローバルシャッターCMOSイメージセンサー「GMAX3405」を展示した。解像度は2448×2048(5MP),フレームレート164fps,サイズは17.6×15.8mmとなっている。サンプル価格は100ドル/個。
産業検査,産業コードスキャン,インテリジェント輸送およびその他のアプリケーションに,より正確かつ効率的な視覚認識機能をもたらすとしている。
同社は他にも,9Kラインセンサー「GLT5009BSI」は,5um画素の裏面照射型で水平解像度は9037となっている。このセンサはTDI転送段数256段と32段を有し,HDR機能も搭載している。TDIとは像の移動に合わせてイメージセンサ上の信号を移動させながら蓄積することで,高速で移動する被写体を鮮明に撮影する技術。同社はこの製品を3000ドル/個にてサンプル出荷している。