早大ら,133億光年かなたの銀河に最遠方星団を観測

早稲田大学,千葉大学,名古屋大学,筑波大学らは,ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を用いて,宇宙年齢4億6千万年の時代の星団を発見した(ニュースリリース)。

私たちの天の川銀河には,球状星団と呼ばれる,何十億年もの間,自らの重力で集団を保ちながら生き延びてきた星団がある。球状星団は,宇宙初期に生まれた,いわば化石のような天体であると考えられているが,いつどこで形成されたのかは,未だよくわかっていなかった。

今回,研究グループは,ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を用いて,宇宙年齢4億6千万年の時代の銀河であるSPT0615-JD1,別名コズミック・ジェムズ・アークの中に,5つの極めてコンパクトな星団を発見し,それらが球状星団の祖先である可能性を突き止めた。

今回の観測対象の銀河は,SPT-CL J0615-5746という前景の銀河団による重力レンズ効果により,長辺がおよそ100倍に拡大されて観測された。また,コズミック・ジェムズ・アークのコンパクトな星団は,天の川銀河の球状星団より質量が大きく,恒星の数密度が非常に高いことが分かった。

初期宇宙に存在する超大質量ブラックホールの起源などを説明するために,高密度な星団中でブラックホールの合体頻度が高まることで,より大質量なブラックホールが誕生する仮説や,恒星同士の合体が暴走的に起こることで超大質量な恒星が誕生する仮説などが理論的に提案されてきたが,今回発見された高密度な星団は,まさにその舞台となる可能性を秘めている。

研究グループは,今回の成果は,球状星団の起源に迫ることに加えて,宇宙の夜明けとも称される宇宙再電離の解明についても大きなヒントを与える重要な意義があるとしている。

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