古河電気工業と日亜化学工業は,従来比1.5倍以上の出力800Wの青色レーザーダイオードモジュール(LDM)を共同開発し,この青色LDMをレーザー発振器に搭載することにより,光ファイバからの輝度で世界最高レベルとなる出力5kWを実現した(ニュースリリース)。
古河電工は日亜化学との協創により開発した青色LDMを搭載した「Blue-IRハイブリッドレーザーBRACE X」を2022年1月に発売以降,業界最高水準の5mm厚の銅のスパッタレス加工や業界初となる巻線被膜の高速かつ残渣のない除去を実現するなど,ラインナップを強化してきた。
モビリティの電動化が加速するなか,電動車の主要部品である電動アクスルなどの生産工程において,生産効率向上に貢献する高出力の青色レーザーソリューションに対する要望が高まっている。
今回,従来比(古河電工)で1.5倍以上の出力となる800W(コア径110μm)の青色LDMを共同開発した。さらにこれらの光出力を光ファイバのまま結合部品(コンバイナ)で1本の光ファイバに結合させることで,世界最高レベルの輝度および従来比(古河電工)2倍以上となる出力5kW(コア径300μm)を実現した。
1本の光ファイバからレーザー光が出力されるためガルバノスキャナ等の光学系との親和性が高く,製造装置の構成が簡略化されるとともに製造時に高速な加工を実現するという。この発振器ではスパッタレスの条件範囲が拡大し,4mm厚の銅の溶接時間を従来比(古河電工)で1/3まで短縮することができるとしている。
また青色レーザーの出力向上により青色レーザー単体での溶接も可能となり,例えばxEV用モータ巻線の溶接時間を従来のハイブリッドレーザーシステムと比較して20%程度短縮できるという。
なお,神奈川県横浜市の日亜化学横浜研究所のレーザアプリケーションラボでは,この青色レーザを用いた加工実験も行なえる。