三菱電機は,「電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザーダイオードの開発」で大河内記念会から「第70回(令和5年度)大河内記念生産賞」を受賞したと発表した(ニュースリリース)。
同賞は,理工系大学,研究機関,学協会,産業団体,企業等から推薦された「生産工学,生産技術,生産システムの研究並びに実施等」に関する業績の中から,学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した顕著な業績を表彰するもの。
今回の受賞は,2022年度に半導体レーザーダイオード(EML)で,データーセンター市場で約50%のシェア,FTTH等のアクセス系光通信網の市場で約30%のシェアを獲得し,光ファイバー通信網の高速大容量化の実現によるリモートワークの浸透やデジタル化社会の進展に貢献した点に加え,今後も国内外において,長年培った技術から市場をリードすることが見込まれる点が,高く評価されたもの。
モバイル通信端末の普及とクラウドサービスの進展によりデーター通信量が爆発的に増大する中,光ファイバー通信網に使用する製品は,より高速動作が可能なものが求められている。
同社が開発したEMLは,DFBレーザーとEAMをワンチップに集積したデバイスで,DFBレーザー単体と比べて,より高速で長距離伝送が可能な特長がある。
同社は30年にわたり,材料や微細加工に関する技術開発を進め,異なる構造のDFBレーザーとEAMを連結した独自のEML構造の導入により,高速動作や大容量化を実現するなかでも高出力で低消費電力を実現した製品を開発し,データーセンター内通信に適用されてきた。
現在は動作速度100Gb/sの製品が主流で,生成AI用演算器間の通信などに適用されていることに加え,次世代の200Gb/sに適用する製品の開発も完了し,まもなく市場に投入する。
また,同社が開発した低コストで大量生産に適した「熱電変換素子内蔵TO-CAN型モジュール」は,業界で広く普及しているという。